アジャイル開発における失敗しないディレクションの秘訣とは?

SENZOKU LAB. 編集長

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Webサイト開発で注目の「アジャイル開発」は、どう取り組んだら失敗しないのでしょうか。SENZOKU LAB.のテクニカルディレクターが、ディレクションのコツを語りました。

アジャイル開発における失敗しないディレクションの秘訣とは?

ビジネスの環境は、常に変化しています。正解が1つではなくなった不確実性の高い時代において、ユーザーニーズを逃さないWeb開発手法として注目されているのが「アジャイル開発」です。

SENZOKU LAB.では、プロジェクトの目的や規模などに応じて、従来の開発手法であるウォーターフォール開発とアジャイル開発を使い分け、常に「お客様にとって最善のWebサイト」を実現してきました。 今回は、SENZOKU LAB.の開発を牽引する宮平忠、山城太樹の2人に、アジャイル開発のメリットやウォーターフォール開発との違い、SENZOKU LAB.ならではのディレクションのコツを聞きました。

宮平忠(Tadashi Miyahira)

プログラマーを経て、2007年にSENZOKU LAB.入社。データエントリー業務からフロントエンドエンジニアへ転身した。グーネットサイトの運用では、トップ技術者としてさまざまなツールを利用した開発の効率化や技術面でのリードを行う。また、技術スタッフの指南役およびBPOの新規サービス・プロジェクトにおける、テクニカルディレクターとしても活躍中。

山城太樹(Taiki Yamashiro)

IT業界を経て2017年にSENZOKU LAB.へ入社。前職の幅広いWeb知識・技術力を活かし、運用オペレーターを経てテクニカルディレクターに。大手航空会社では東京常駐で大規模開発プロジェクトのPMを担当するなど、対外的な評価も高い。現在は沖縄に戻り、さまざまな業種業態の新規サービス立ち上げの開発業務をPMとして担当するほか、UI/UX推進担当としても活躍している。

市場環境やユーザーニーズによって開発手法を選択

お二人は、ウォーターフォール開発とアジャイル開発、どちらも経験されているのですか。ご経歴を踏まえて教えてください。

山城

Web業界には、かれこれ10年以上在籍しています。前職では、フロントエンドエンジニアとしてウォーターフォール開発におけるコーディングなどを担当していました。

SENZOKU LAB.には、前職で培った経験を活かして入社し、大規模開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーを経験。現在は、大小さまざまな新規サービス立ち上げプロジェクトを担当しています。

入社当初から携わっていた大手航空会社の開発プロジェクトはアジャイル開発でしたから、どちらの開発手法の経験もそれなりに長いですね。

宮平

私は前職が大手IT会社のプログラマーで、当社には2007年に入社しました。前身である株式会社プロトデータセンターの時代で、最初はデータエントリー部という部署でデータ入力をしていたんです。
当時はシステムの裏側を作るエンジニアになるか、ユーザーの目に見える部分を作るWebエンジニアになるかで迷っていたんですが、趣味でWebに携わっているのを知った会社に目をかけてもらい、フロントエンドエンジニアに転身しました。

当初はウォーターフォール開発が中心でしたが、最近ではテクニカルディレクターとしてアジャイル開発を指揮することも増えています。

アジャイル開発は近年、特に注目されている印象です。

宮平

アジャイル開発の概念自体は、2001年頃アメリカで提唱されたのをきっかけに広く知られるようになったといわれています。日本でも、少し遅れて開発の現場に入ってきました。

近年になってまた注目されているのは、変化の激しい時代に適した開発手法だからではないでしょうか。アジャイル開発は、計画、設計、実装、テストを小さな単位で何度も繰り返しながら完成に近づけていく仮説検証型の開発手法なので、変化に対応しやすいんです。

開発プロセスごとに開発を完了させてから、次のステップに進むわけですね。

山城

そうですね。最初にざっくりと方向性を決めてプロジェクトをスタートし、優先順位の高い機能から順に短いサイクルでリリースまでの工程を回していきます。全体の開発を一気に進めるわけではないので、顧客からのフィードバックや市場の変化があった際にも柔軟に反映できるのです。

なるほど。従来のウォーターフォール開発との違いは、そうした柔軟性ですか?

山城

ウォーターフォール開発は、最終的に実現したい機能や仕様を細かく定義した後、設定したゴールに向かって計画どおりに開発を進めていくモデルです。上流工程から下流工程に向かって段階ごとに開発を完了させていくため、原則として工程をスキップしたり後戻りしたりすることはありません。

基本的に手戻りを想定していないので、柔軟性には欠けますね。全体の流れや最終形のイメージは描きやすいですが、開発途中での細かな変更には向いていません。

宮平

トレンドの移り変わりが激しい市場での開発では、ウォーターフォール開発 よりアジャイル開発のほうが適していると思います。ウォーターフォール開発の最終段階で要件と市場の状況が合わなくなって作業をやり直すことになると、コストや時間のロスがとても大きくなるからです。

開発案件や市場、クライアントのニーズによって、開発手法を考えることが大切ですね。

アジャイル開発を牽引するテクニカルディレクターは、お二人のように開発の最前線を経験した人が担当することが多いのでしょうか?

山城

Webの開発現場を率いる職種としては、Webディレクターやテクニカルディレクターなどが代表的です。

サイト内の広告やコンテンツの企画立案や制作、運用などを担うWebディレクターに対して、よりテクニカルな部分の技術や機能の提案、実装後の動作確認などを担うのがテクニカルディレクターですね。

テクニカルディレクターは、その仕事の性質上、技術者上がりの人に向いていると思います。ただ、アジャイル開発はあくまでもチームで開発するスタイルなので、足りないところは優れた能力を持つチームメンバーをアサインすることで調整可能です。

密なコミュニケーションで、完成度も生産性もアップ

SENZOKU LAB.では、どのようにアジャイル開発を進めているのですか?

山城

アジャイル開発は、工程ごとにチームを構成して各メンバーに役割やタスクを割り振り、コミュニケーションをとりながら開発を進める「スクラム開発」という手法で行われることが多いです。

各スクラムチームが担当するそれぞれのプロセスは「スプリント」と呼ばれ、ディレクションする人はスプリントごとに方向性を決め、スケジュール管理をして制作の指揮をとります。

一見すると、最初にゴールまでの計画を固めてしまうウォーターフォール開発のほうがスケジュール管理はしやすそうですが、意外とアジャイル開発のほうがスムーズに進行できる気がしますね。スプリント単位だとゴールまでの距離が短いので、それぞれが「今日何をやるべきか」「いつまでに、どこまで進めておくと良いか」を把握しやすいんですよ。

宮平

確かにそうですね。私はスプリントを2週間に設定してディレクションしていますが、みんな先の見通しがつけやすいようで、着実にタスクをこなしてくれているんですよ。

山城

1つのスプリントが完了したら、「レトロスペクティブ」と呼ばれる定期的な振り返りを行います。直近のスプリントにおける成果やチーム活動のプロセスを洗い出して評価し、次回以降の改善につなげていく取り組みですね。

私は、プロダクトのオーナーやチームメンバーの調整役として課題を解決する「スクラムマスター」としてチームに加わることが多かったので、レトロスペクティブには非常に力を入れていました。

かなりこまめにコミュニケーションをとって進めていくのですね。

宮平

固定されたメンバーでプロジェクトを進めていくアジャイル開発のスクラムでは、チームメンバーのコミュニケーションが何よりも重要です。コミュニケーションの密度によって、プロダクトの完成度がまったく違うんですよ。

山城

コミュニケーションがとれていると、お互いを慮って仕事を進めるようになるので、生産性も確実にアップしますよね。このあたりは、アジャイル開発の大きなメリットです。

宮平

アジャイル開発は計画を立てやすいので、無理なく働ける上に効率が上がりますね。

2週間で確実に終わる量の業務を割り振れば、みんな定時で上がれるように自分で仕事を配分しますから、だらだらと残業することなく高い集中力で仕事している印象です。

アジャイル開発はメンバーが刺激し合い、主体的に仕事をしてくれる

アジャイル開発を成功させる秘訣は、コミュニケーションにありそうですね。お二人は、チームのコミュニケーションを深める上で、どのような工夫をされていますか?

山城

メンバーにとって、「いつまでに、何を作るか」が明確化されていて、プロジェクトに対する不安がない。それは、アジャイル開発の大きなメリットです。

スプリントごとに力量に応じた内容と量のタスクを割り振り、レトロスペクティブにおいては、一人ひとりの意見を丁寧に聞き取り、より良くするための十分な話し合いを心掛けています。

宮平

技術者の中には、一人で黙々と作業することが多いウォーターフォール開発の経験が長く、コミュニケーションをとりながらの開発に慣れていない人、苦手意識がある人が少なくありません。

実は私自身、ウォーターフォール開発からアジャイル開発に変わったとき、すごく抵抗があったんですよ。

そこで、レトロスペクティブに加えて毎朝10分から15分程度のミーティングをし、一人ずつ話をしてから作業をスタートするようにしました。また、レトロスペクティブの際にも、順番にファシリテーターを務めてもらっています。

全員にスポットライトがあたる時間を作ることで、チームメンバー同士がお互いの人間性や仕事への姿勢を理解し合うきっかけを作り、一人ひとりにチームメンバーとしての自覚を持ってもらえたらと思っています。

山城

コミュニケーションの活性化はもちろん、仕事に対する主体性も高まりそうですね。自分がチームの一人であることを意識することで、アウトプットの質もさらに上がるのではないでしょうか。

宮平

「みんなで1つの物を作っている」という意識は、メンバーを成長させますよね。

山城

そうですね。アジャイル開発の中でメンバーが刺激し合い、主体的に仕事をしてくれるのはとてもうれしいです。今後も、SENZOKU LAB.ならではのコミュニケーションを引き出すディレクションで、クライアントの期待を超える成果を目指していきたいと考えています。

SENZOKU LAB. 編集長

Webマーケティング部 SENZOKUメディアチーム

SENZOKU LAB.の中の人。コーダー経由のWebディレクター。こっそりデザイン独学中。XD大好き。 過去経験から外注パートナーに苦慮したこともあり、現場が本当に必要なパートナーとは?を模索中。 休日はネトフリかスイッチで冒険の旅に出る。インドアだけど沖縄の空と海が大好きな島ナイチャー。

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