クライアントに伴走しながら「Shopify」を学び、社内ではその指導やマネジメントも行うSENZOKU LAB.の兼城龍之介。彼がある失敗から得たものとは?
仲間とユーザーの声を励みに、トレンド技術「Shopify」に挑む
システム開発者を目指している、あるいはシステム開発に現在携わっているなら、「Shopify(ショッピファイ)」をご存じの人も多いでしょう。Shopifyは、「D2Cブランドにおけるデファクトスタンダード」との呼び声も高い、ECサイト構築プラットフォームです。SENZOKU LAB.新卒4年目の兼城龍之介は、このShopifyが国内で普及し始めた頃からクライアントとともに学び続け、今や社内の技術者を牽引する第一人者へと成長しました。
兼城の技術に対するあくなき探求心。それはどこから生まれ、これからどこへ向かうのでしょうか。本人の口から語られた想いとは…?
兼城龍之介
2017年4月入社。県内の大学でWebプログラムを学び、エンジニアを志す。入社後、携わっていた案件に関連してShopifyを独学で習得。現在は、社内におけるShopify第一人者として、技術指導やガイドライン作成も手掛ける。趣味は動画鑑賞やゲーム。
独学で技術を身につけ、メンバーを指導
私は、入社2年目から独学でShopifyの勉強を始めました。きっかけは、現在も担当させていただいているクライアントのクライアントがShopifyの導入を決めたことです。
クライアントは、「トータルブランディングパートナー」として、ECサイトやAIなどのデジタルテクノロジーによるブランディングを手掛ける会社。以前からECサイトサービスの「FRACTA NODE(フラクタ・ノード)」を提供していましたが、2019年10月には「Shopify Plus Partner」の認定を受け、Shopifyでのブランディングや構築コンサルティングを多く展開しています。
時流に敏感なクライアントさんを担当していたのが、学びのきっかけだったのですね。とはいえ、独学ではかなり大変だったのでは…。
そうですね。表示したページのHTMLやCSSを確認できるブラウザ検証ツールを使って、Shopifyで構築されたWebサイトのコードを読むところから始めました。ShopifyによるWebサイトは、独自のプログラミング言語「Liquid」で構築されています。これが初めのうちは読めなくて、苦労しましたね。
それでも続けるうちに、なんとかコードを読めるようになりました。現在は、Shopify公認のECサイト制作会社に与えられる「Shopify Experts」認定を目指して、チームメンバーに自分が持っている技術を伝えているところです。これも、クライアントがすでに認定を得ていて、当社も認定を受けられるよう動いてくれたからこそ実現したチャレンジなんですよ。
トレンド技術にふれられる環境は、開発者にとってワクワクするでしょうね。
できなかったことができるようになっていく過程は、とても楽しいです。Shopifyは、ソースコードをいじらなくても簡単にデザインを変更できたり、完全にオリジナルのデザインで作れたりと、とにかくフレキシブルに開発できるのが魅力。ユーザーのニーズに合った使い勝手の良いWebサイトを構築できたとき、喜びの声が返ってくるのが、最大のやりがいですね。
クライアントと良い関係が築けているので、こちらの提案を柔軟に受け入れトライさせてもらえるのもありがたいです。
トレンド技術にふれられる環境は、開発者にとってワクワクするでしょうね。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響でリモートワークが普及しましたが、SENZOKU LAB.は以前からリモート業務が主流でした。私が入社した当初からそうだったので、特に違和感はありません。
ただ、Webサイトにオリジナル機能を追加するといった場合には、事前にメールで概要を伝えてから、オンライン会議で画面を共有し、より正確に情報を伝えるように心掛けています。
ほめ合う文化がモチベーションの源泉
入社当初からクライアントのチームに所属しているのですか?
入社から数ヵ月は各チームを回っていました。クライアントを担当したのは1年目の秋頃で、今はもう4年目になります。最初は、クライアントからいただいたデザインをFRACTA NODEで実装していくところから始めました。2年目からは制作リーダーとして、メンバーのマネジメントにも携わるようになっていましたね。
現在は、自分が担当している開発業務を中心に、メンバーのアサインや全体の進行管理などを行っています。
技術者はスペシャリストかマネージャーか、キャリアの方向性に悩む人も多いと思います。兼城さんは、最初からマネジメント領域へのキャリアビジョンを描いていたのでしょうか?
ものづくりに興味があって選んだ道なので、入社当初はそこまで考えていませんでした。沖縄県内の大学でITを学ぶうち、ある授業で出合ったWebプログラムにすっかり魅了されてしまって。Webコーダーやシステムエンジニアになることを思い描きながら就職活動して、最終的には会社説明会で良い印象だったSENZOKU LAB.に入社を決めました。
SENZOKU LAB.では、目の前の業務にコツコツ取り組んでいたら、新しい仕事を任せてもらえたという感覚ですね。
仕事に取り組む姿勢を評価されて、抜擢してもらえるのはうれしいですね。
私がSENZOKU LAB.に魅力を感じた理由のひとつですが、社員一人ひとりがお互いをよく見ていて、お互いの良い点を手放しでほめ合う文化があるんですよ。評価も、その延長線上にあるイメージです。
難しい実装を実現した際には、ほかの社員から「どうやって作ったの?」「すごいね」と、驚きや賞賛の声をもらいました。達成感を味わっている瞬間を見逃さず、想像以上のリアクションで評価してくれるので、素直にうれしいですね。
心掛けているのは「メンバーに助けを求められる環境づくり」
マネジメントにおいては、どんなことに気を配っていますか?
メンバーが一人で抱え込みすぎてパンクしないよう、個々人の状況をできるだけリアルタイムで把握すること。それと、「スケジュールが厳しい」「誰かにサポートしてほしい」などの本音を率直に言い合えるようにすること。この2点を意識したマネジメントに取り組んでいます。
実は私自身、一人で全部やろうとして失敗した経験があるんですよ。
その話、もう少し詳しく伺ってもいいですか?
とあるコーポレートサイトの構築を担当したとき、Webサイトに載せるアニメーションに見たことのない技術が使われていました。それに気づいた瞬間、「自分の手で実装してみたい!」という衝動を抑えられなくなってしまって…。
今思えば、自分にできることが増えてきた時期でした。つまり、自分の力を過信していたのかもしれません。本来なら期限とリソース、そして自分の力量を見極めて判断すべきでしたが、一も二もなく「やります!」と即答してしまったんです。
結果として、実装が困難で納期に間に合わず、上長がクライアントに対して頭を下げることになりました。それまでクライアントと確かな信頼関係を築いていたおかげで大事には至りませんでしたが、取り組んでいたときは「間に合わないかもしれない…」と本当に肝を冷やす日々でした。
その経験によって、ご自身の仕事の仕方は変わりましたか?
仮に、開発者の欲求をくすぐるような案件に出合っても、まずは「できるか、できないか」「取り組むとしたら何が必要か」を冷静に判断するようになりました。未経験の技術が必要であれば、現実的に実装できるか否かを必ず調査・検討してから、お返事をしています。
また、同じ失敗を繰り返さないために、実装時に問題があったり進行が遅れたりしたケースの振り返りも徹底するようにしています。クライアントの担当メンバーとも、毎日の朝会のほか、1ヵ月に1度のミーティングで課題感やトラブル事例を共有し、対応を協議しながら次回に活かしています。
私が過去に実装で苦しんだときや、業務上の悩みを抱えたとき、いつもチームのメンバーが助けてくれました。仕事をしていれば、必ず壁にぶつかる瞬間はあります。でも、信頼できるメンバーがいれば必ず乗り越えられるので、助けてくれるメンバーのためにも、良いチームづくりをしていきたいと考えています。
YouTubeなど、動画を観て過ごすことが多いですね。ゲーム実況系の動画を観て、実際に好きなゲームをするのがリフレッシュ方法です。
といっても、根っからの開発好きなので、あまり仕事がストレスに感じることはありません。プライベートでも、気づいたら技術的なトレンドを追いかけていたり、仕事でちょっと耳にした程度の知識を詳しく調べていたりします。そうやって学んだことを、休み明けの仕事で実践するのが私なりの楽しみなんです。
チームメンバーの数を増やして、体制を強化するのが当面の目標です。Shopifyのガイドラインづくりにも取り組んでいく予定です。
私のチームのメンバーはもちろん、ほかのチームのメンバーにも技術を習得してもらって、SENOZOKU LAB.の強みにしていきたいですね。
思いやりのある人に入社してほしいと思います。思いやりは、もちろんいっしょに働く仲間と円滑な関係を築くために必要な要素ですが、実は技術的な面でも欠かせない要素です。
私たちが書いたプログラムは、クライアントや社内のメンバーを通して、ずっと先の未来まで残っていく可能性があります。自分本位に書かれたプログラムは、読む人の大切な時間を無駄に奪いかねません。
未来の読み手の存在を意識して、誰が読んでもわかりやすいプログラムが書ける。そんな技術者が、一人でも多くチームに加わってくれるといいですね。